MS-DOS(PC-98版)
えむえすどすOS1983
PC-9801上で広く使われた日本語環境のMS-DOS。漢字を扱う独自の工夫を重ねながら、国産PCのビジネスとゲームを長く支えた。海外のDOS文化とは少し違う、日本独自のコマンドライン時代を形作った。
時代背景
1982年10月、日本電気(NEC)は16ビットパソコン「PC-9801」を発表した。8ビットパソコンは主にゲーム・ホビー用途で使われていたが、日本語の文字コードを扱うには非力だったため、より高速な16ビット機として開発された。オプションのJIS第一水準漢字ROMを搭載し、日本語処理とカラーグラフィックス表示に対応していた。この機体の上で動くOSとしてMS-DOSが日本市場向けに最適化され、ハードウェアの性能を最大限に引き出す形で普及したことが、PC-9801シリーズの圧倒的なシェアを支えた。
消えた理由
PC-9801シリーズの優位性は、日本語処理に特化したハードウェアと、その上に積み上がった膨大なMS-DOS用ソフトウェア資産にあった。しかし1989年末、日本IBMが「IBM DOS J4.0/V」(通称DOS/V)をリリースしたことで状況が一変する。DOS/Vは日本語処理をすべてソフトウェアだけで実現し、専用ハードウェアを必要としなかった。これにより海外で大量生産されるIBM PC用の周辺機器がそのまま国内でも使えるようになり、PC-9801シリーズが持っていたハードウェア面の優位性が急速に失われていった。さらに戦場がWindowsに移ると、PC-9801シリーズ専用に積み上げられたMS-DOS用ソフトウェア資産という強みも意味を失い、IBM PC互換機に対して不利な立場に追い込まれていった。
| 基盤 | MS-DOS |
|---|---|
| 対象 | PC-9801 |
関連項目
- MS-DOSマイクロソフトがIBM PC向けに提供したコマンドライン方式のOS。文字を打ってコンピュータを操作する時代を象徴し、後のWindowsの土台になった。今もWindowsの「コマンドプロンプト」にその面影が残る。
- PC-9801NECの16ビットパソコンで、長らく日本のPC市場で圧倒的なシェアを握った。独自規格ながら膨大なソフト資産を抱え、「98(キュウハチ)」の愛称で親しまれた。Windows/DOS-V互換機の波に飲まれるまで、日本のビジネスとゲームを支えた。
- Windows 3.1MS-DOSの上で動いたグラフィカルな環境。商業的に大きく成功し、PCにGUIを一般家庭・オフィスへ広めた版。日本語版とともに国内でも普及し、Windows 95へ至る道を整えた、過渡期の重要な一枚。